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40歳オジサンがABCクッキングスタジオの勧誘を体験

勤務先の近くにあるABCクッキングスタジオ。40歳のオジサンにすりゃただのオシャレな料理教室という認識でしたが、ひょんな事から体験レッスンしてみました。調べてみるとABCクッキングスタジオの勧誘ってはスゴイらしいじゃないか。その顛末を。

なぜ体験レッスンするに至ったか

職場の同僚の子が、『ちょっとこのストーンプレートが欲しいんです。』と言ってきた。どうもABCクッキングスタジオの体験レッスンに参加すれば紹介する側もされる側も無料でもらえるという。ストーンプレート自体は6,000円ほどする。その同僚の子には今までもいろいろとお世話になったし、特に断る理由もなかったので、そのときには深いことは考えずに『いいよ』と返事をしました。

事前に勧誘がスゴイことを伝えられる


体験レッスンは19:30から、その前に腹ごしらえを近くのカフェで。その時に同僚の子から『勧誘がスゴイから気をつけてね。』とアドバイスをもらいました。とにかくお金の話がスゴイと…。
勧誘か…いやいやいやいや、こちとら営業経験10年超ですよ。アムウェイからニュースキン、ニューウェイズ、ガンに効くキノコ、はたまた1,000円ガチャなど数多の怪しい勧誘を受け、全てを断ってきました。それなりの営業成績で、かつては営業所長も経験し百戦錬磨?の私に勧誘、その場で即決させたのは、唯一外資系生命保険会社のライフプランナーだけ(その後転職w)。普段も営業してる側の人間に即決なんて甘いよと、伝えました。

エプロンに着替えて早速スタートすると…

着替えて19:20くらいからスタート、見るからに若そうな女子先生が現れ、いきなり勧誘を受けますwww

「今日なら入会金12,000円に割引が効いて半額なんですよ〜。」

「今日はどういう目的で来られましたか?」

「もし加入されるとしたら毎月おいくらくらい支払えますか?」

「…」

この展開スゴイ。金額はおろか、まだどんな雰囲気なのかもわからないのに、お金の話がメインだ。事前情報通りではあるものの、とりあえずこちらからも聞いてみることにしました。

「失礼ですがいまおいくつなんですか?」→「24歳です。」※よく考えたら年齢から聞くなんて本当失礼(;゚д゚)

わ、若いですね…。正直言って24歳にしては受け応えがしっかりしている。そのあとも女子先生にいろいろと聞いてみると、本人曰く飽き性で、職を転々としているそうだ。前職はなんとビックカメラの店員。この仕事も立ち仕事のため、朝10時から開始し、その後は休憩もあまり取れずにずーっと立ちっぱなしだそうだ。それだけ聞くとブラック企業の匂いがしないでもない。(料理の先生とはいえ、半分は顧客を獲得する営業だから仕方ないだろう)

コース説明のメニューを写真とiPadで提示され、まだ体験レッスンも終わっていないというのに、どのコースに加入するかをガンガン聞いてくる。これは確かにスゴイ勧誘だ…。とりあえず、やんわりとその勧誘をかわしながら時間の経過を待った。

料金プランの一例

私のような料理ド素人であれば、料理教室の月謝(表現が古い?)なんて、たかだか数千円だろうと思っていました。実際の金額を見て衝撃を受ける。実は数十万円の契約を提示されている。

提示された人気No.1のコース
入会金12,960円
料理基礎12回
料理マスター12回
クッキング36回
ブレッド基礎24回
ケーキ基礎初級6回
ケーキ基礎中級6回
ケーキ基礎上級6回
有効期限48ヶ月
セット割引金額19,440円
申し込み合計561,168円(→要するに一括払ならコチラの金額)
契約コース価格519,600円
消費税41,568円

以下分割払いのシミュレーション

支払合計(手数料込)635,242円(→コチラが分割払総額)
支払い回数24回
ボーナス加算額58,000円
1回目支払い額16,842円
2回目以降支払額16,800円(分割払の毎月の金額)


簡単にいえば、一括で払うか分割にするかにすぎない。例えていえば携帯電話の契約を思い出すと良い。携帯電話をいわゆる3大キャリアで契約すれば2年総額で20万超だが、毎月分割支払することで数千円になり負担感が少なく感じるアレと同じ。だがしかし、御存知の通り途中解約しても20万超の支払いから逃れることはできない。
このコースには途中解約という考え方はなく、有効期限48ヶ月の料理する権利をまとめて買い取るようなイメージ。軽い気持ちで体験レッスンに来たものの、提示されている金額はワキ汗も出る50万超の超高額契約である。分割払いなので、もちろん一度契約すれば支払いは継続する。

どうも、調べてみるにもっと安いプランもあるようだが、40歳の私を見て、これくらいならイケると踏んだのか、その安いであろうプランは提示されることはなかった。
※学割などもあるようです

落ち着いて店内を見渡してみた

ABCクッキングスタジオは外からみるとガラス張りで、近くを通るたびに中を見てはやけにオシャレ空間だなと思ってました。緑色のエプロンをした先生が5〜6人くらいいて、そのうち3人が男性。お客さんのほとんどが女性だが、今回は私含めて男性は4人だ。体験レッスンは私とあと数人いるかどうか。ちなみにレッスン中の飲み物は自由に飲めるものが用意されている。体験レッスンではソフトドリンクのみだが、通常レッスンであればアルコールも飲める。飲みながら料理を作って食べるそうだ。そこにいる女子は20代後半〜35歳くらいだろうか、場所が渋谷だけに若い感じの方ばかり。野暮ったさは皆無で、参加してる方は、渋谷という場所が似合ってしまう、いわゆるおしゃれ感がにじみ出ている。これが大人のサークルなのか…。

作ったあとの料理は、2人〜4人程度が囲みながらキラキラした笑顔で食事をしている。なんとも微笑ましい。正直言って自分が独身でお金と時間に余裕があれば、入会するのも悪くないと思った。

パン作りが始まる…

今回の体験レッスンメニューは「トマト&ベーコンのアヒージョブレッド」というもので、材料と下準備についてはあらかじめ24歳女子先生が用意してくれていました。とりあえずパン生地をコネコネし、数分寝かせるところまで続きます。


生地がある程度完成すると、また最初の席に戻ってくださいと言われます。

「いかがですか?」
「レッスンメニューは
これこれこうなっていて…」
「もし加入されるとしたらどのコースですかね?」

どんどんと断りにくくなってくる…。曖昧な返事をしていた私に24歳女子先生は本音、というか、いわゆるクロージングをかけてきた。

「実は入会金の12,000円が半額になるためには、本日21時までに登録する必要があるんです。だからコース変更はあとでもできるので、できれば申し込みだけでもすぐにどうですか?」

時計をみると20:45、ちなみに提示されているコースの総額は上記のとおり50万超である。これを即決するには、相当な覚悟と男気が必要だ。

「さすがに奥様に承諾いただかないと無理ですよね?」

その通り。しかも私の体験レッスンのきっかけは、料理を習いたいわけではない。来てくれと言われたから来ただけだ。ここで決めろと言うなら答えはNOだ。人は何かを決断しなければならない時、誰しも『人間の基本的弱さ』が露呈し、ほとんどの人は『物事を先延ばしにする』。つまりはここで決断せず良い人で終わろうとする。それは私も含めて例外はない。

意を決して私は言った。

「すいません。良いお話だと思うのですが、金額も金額なのですぐには決められません。」

「わかりました。ではじっくりと考えてみてくださいね。」

一旦24歳女子先生は引き下がってくれた。

営業ウーマンとしては悪くない24歳女子先生

営業経験がある方なら分かるだろうが、営業の本質は断られてからが勝負だ。一旦断った身であるため、一般的に営業マンは目の前のお客様に対して冷めた反応をしてしまうのもまた人間の悲しい性、それもわかる。
だがこの24歳女子先生は、そんなことはなく楽しくレッスンを続けてくれた。

ゴパンで自宅でパンを作ったことがあると言うと、
「私もゴパン持っているんですけど、一度手作りの良さを知ってしまうと、パンは手作りですよね。生地が違うんですよ。」

ブログ主さんはダンディですよね〜。」→もちろん悪い気はしないwww。

「添加物とか気にするならやはり手作りですね。」

ここで冷たい反応をするような先生であれば、本気で入会どうしようかな、と思っているなら絶対契約することはないだろう。この先生はそんな反応がない。むしろ共感され、好感さえ持ってしまう。おそらくこの対応はスキルというよりは、この女子先生の天性のものだろう。腹黒さが無いというのは営業マン、ウーマンには大事な要素である。
パン作りは、いよいよ終盤を迎え、焼き上がりを待つだけ。そのちょっとの待ち時間に先生は再び切り出してきた。

「じゃあ、今回のコースについて奥様に相談の上考えても良いかなと思ったら来店の時間をあらかじめ取らせてもらっても良いですか?突然契約しますと言われても、手続きができないんですよ。」

おっ、たいしたものだ。その場で即決が出来ないとなった場合、検討するを言わせる→いつまでに→次回のアポイントを取得(もしくは期限を区切る)のは重要なことだ。さらにこの先生は、何気に売り手と買い手の立場を逆転させ、いつでも契約できるわけではない、契約する選択権はコチラ(ABC側)にある、という優越的地位を匂わせた。

「とりあえずいまわかる範囲で良いのですが、来週水曜日とかどうですか?」

なんという高等技術だろうか。こちらのスケジュールがわからないという逃げ道をいとも簡単にかわし、この日と同じ水曜日の同じ時間帯という、現状最も断りにくい具体的日程を提示してきた。もう潔く認めるしかない、この24歳女子先生は外資系営業顔負けの極めて高い営業力を持っている。これが企業内で研修した成果なのか、本人の素質なのかはわからないが、営業としては理想的な展開だ。

毎日同じように営業している自分としては感心するしかなかった。とりあえず営業経験10年超の営業所長経験者である私は、来週水曜日の19時というアポイントをいとも簡単に取得されてしまうのであった。

焼きあがったパンはめちゃくちゃ美味かった


焼きたてのパン

焼きあがったパンは、焼き立てってのもあるが、ひとつ試食してみて、めちゃくちゃ美味しかった。言われなければ売り物のよう。先生も言うように無添加、身体にも良さそう。ちなみに中にはアンチョビペーストとマッシュルーム、ベーコンが入っていて、ベーコンとアンチョビペーストの塩だけで美味い。確かにこんなパンを、いつでも我が子に食べさせてあげたい、という気持ちになるのもわかる。『これが毎月16,800円かぁ。もしかしたら悪くないかも…。』と心の葛藤を持ちつつも試食後、残りの5個は持ち帰ることにした。

レッスンは無事終了、24歳女子先生は最後にこう言った。

「もし今回は入会を見送る場合には前日までに連絡くださいね。よろしくお願いします。」

ううう、断る側としては電話をするという行為を約束されてしまったわけだ。自らが追いかけることをせず、断るなら相手に連絡させる。追いかけ追いかけの狩猟型営業ではなく、待ち姿勢の農耕型営業への転換の基本である。知人からの紹介と言うこともあり、シカトするわけにもいかない…。うまい、うますぎる。パンもうまいが24歳女子先生は営業もうまかった

敢えて言わせてもらうABCクッキングスタジオの営業改善ポイント

このブログ記事の展開が、わけわからないwが、同じ営業という立場から言わせてもらうと、ABCクッキングスタジオの営業には残念な点が一点だけある。それは

「料理をすること、体験すること、で得られるベネフィット(利益)を感じる前に料金の話をしてしまう」ことである。

つまりは

料理を体験する→満足する→加入しても良いかなと思ってもらう→料金の話をする、という展開が理想であるが、実際には

料金の話をする→料理を体験する→料金の話をする→料金の話をする

という流れなので、純粋に料理体験で満足しそうにも関わらず、その前に不信感が生まれやすい。それは私が料理をしたい、という気持ちがあまり無い中で体験レッスンを開始してしまったからかもしれない。(本来であればすでに料理をしたいという気持ちで体験レッスンを受けるケースが大多数のため)

簡単に言えばニーズの顕在化をしないままにプレゼンテーション、クロージングをしているってことだ。ニーズ無き営業はただの押し売りである。致命的ではないが、改善することで大きく成約率を上げることができるはずだ。実際に私は入会はしていないが、オシャレな空間で美味しいパンを作り、食べて満足したのは事実であり、50万はアレだが、もう少し金額の妥当性や納得感があれば、入会も決して悪くないと思ったからだ。

てことで、ABCクッキングスタジオの勧誘力(営業力)は極めて高いことがわかった。営業マンなら一度は経験する価値のあるものである。はっきりとNoの言えない女子なら、あらかじめ上記の流れを理解した上での体験レッスンの申し込みとして欲しい。

やはりこの社会は営業で成り立っていることを思い知らされたABCクッキングスタジオの体験レッスン、さぁまた明日から営業頑張るぞ!と思わせてくれた貴重な体験でした。

あ、ちなみに、ストーンプレートがどうなったかって?なんと引き換えチケットをもらい、後日受け取り制でした。断った後に、取りに行くって相当なメンタルでないと無理だと思います笑。これも営業戦略的には相当考えられています。その場で再度クロージングできる利点があります。

同僚の子の依頼でもあるので、もちろん取りに行ってきました。このキャンペーンで結構なコスト掛けてる分、熾烈な営業も致し方ないといったところでしょうね。金額が大きいので驚く方も多いと思いますが、高い安いは料理教室に対する個人の価値観の違いなので、興味がある方は体験することをお勧めします。


仕事が営業ならこの本がオススメ。ハーバードは外資系営業のノウハウ、かばんはハンカチは外資系営業の心のスタンスが書いてあります。

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コメント

  1. はるきん より:

    ABCの内実を知り、びっくりしました!
    ABCは、これまでにないオープンで明るく、新しいタイプの料理教室と好印象を持ってました。
    月謝(?)もいい金額なんですね~。
    私だったら、お願いします、と言ってしまうかも。
    最後の営業改善は、おっしゃる通りで流石です。
    実家が人形町でスマホ好きのご縁でいつも拝見してます。
    これからも、更新楽しみにしてます!

    • たいゆうき より:

      はるさん、コメントありがとうございます。考えてみれば良い立地であんなにオシャレな雰囲気ですから、お金掛かってるのは当然なんだなと。それに投資できる女性はスゴイです。またよろしくお願いします。

  2. やまと より:

    はじめまして、やまとと申します。

    友人に誘われ、明日ABCのパン作り体験に行くため、勧誘はあるのかなぁと調べていたら、こちらにたどり着きました。

    内容がリアルで、とても勉強になりました。先生も友人の知り合いのようなので、アウェーな戦いとなりそうですが、頑張って参ります。

    • たいゆうき より:

      やまとさま。コメントありがとうございます。悪いところではないので、ぜひ体験入学楽しんでください。あとはご自身の優先順位や価値観と合うかどうか…。また感想聞かせてください。

      • やまと より:

        たいゆうき様。
        お返事ありがとうございました。昨日体験に行ってきまして、勧誘については料理前の料金の話が無く、「家族に相談したい」と言ったら「ご自身単独で決定できる予算はいくらか」など、逃げ場を狭めていく攻めはさすがでした。
        もともとパン作ってもいいかなと思ってたので最も少額なプランで入会しましたが、話の持ってき方は勉強になりました。
        このブログで予習していたので、冷静に見ることができたと思います。ありがとうございました。
        ちなみに教室の雰囲気はキラキラしていて、とても良かったです。

        • たいゆうき より:

          コメントありがとうございます。入会されたのですね。料理教室としては清潔感あっていいと思います。私も出来ることなら入会したい…

  3. ぴぃ より:

    こんにちは!私、10年くらい前に新宿店でパンの体験をしてみましたが、、それはそれは勧誘が酷かったです。
    10年も前なので、今はわかりませんが、
    やはり、パンづくりより料金、勧誘ばかり、、。実際に受けてみて自分でもできるかどうかを感じたかったのに、勧誘ばかりで不信感が半端なかったです。

    「検討します」
    といっても、キレ気味に「なんで本日決められないんですか?」と言われ、最後はほぼ放置気味に、挨拶もなく、大変後味が悪いまま終わりました。

    10年も前の出来事ですが、今思い出してもムカついてきます(笑)

    • たいゆうき より:

      コメントありがとうございます。ビジネスですから仕方ない部分もあるものの、不快感残すのはいかがなものかと思いました。

  4. kk より:

    まさしく今日、ABCクッキングスタジオで体験レッスンを受けてきたばかりです。
    ケーキ作りのコースでしたが、凄まじい勧誘っぷりでうんざりしながらの体験レッスンでした。

    • たいゆうき より:

      おつかれさまです。大変でしたね。体験ではなく勧誘ですから、その言葉のギャップに驚くと思います。

  5. […] 参考 40歳オジサンがABCクッキングスタジオの勧誘を体験人形町から情報発… […]

  6. さやか より:

    私も今日体験に行ってきて、ほとんど同じ流れでした。

    体験中にあまりに勧誘がすごいと思って、食べている最中にこっそりスマホで調べたらこちらの記事に行き当たりました。自分の場合は30万くらいだったかな。気軽な気持ちで来たのに勝手に3年通うコースを契約させられそうになりました。

    私もやはり囲い込み作戦に不審感が拭えず、その場で断ったら雰囲気悪くなるだろうと思って態度を濁しつつ、帰る間際の契約時に「やっぱりやめます。」と言って逃げました。

    一回でも受講したら、解約する際にも多額の違約金を払わされるという情報もあるので入らなくて良かったと思いました。

  7. ゆかり より:

    私も、さやかさんと同じくらいの時期に体験行って、同じ感想を持ちました。

    いきなり3年とかのローン組ませるんですよね。やばいところに来てしまったというのが感想でした。

    どうしてその場で決められないのか、それはそれはしつこかったです。私もそれなりの年齢で、かわし方もわかっていたからなんとかなりましたが、未成年の学生なんかが行ったら断れないかもしれません。

    割とそういうのに疑問を抱かない人もいるみたいで、平気で習っている人も周りにはいます。

    ABCクッキングは、元々は鍋のマルチ商法から始まったという情報を見つけましたが、本当だったら納得かもしれません。