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【書評】落合正勝のダンディズムを読んでみた

故落合正勝氏の『ダンディズム』を読みました。前半から中盤までがスーツや靴に関しての考え方、後半は氏の夜の活動?について描かれていて、内容的には他にないもので面白い。この本の書評というか、感想を。

ダンディズムとは何か?

ダンディと聞いたら思い浮かぶのはダンディ坂野、もしくは谷村新司しかないが、詳しい定義は英和辞典等に任せるとして、氏はダンディとは「時間と状況に応じて(出会うべき)他人に対して十分配慮した、気の利いた服装をする人、また服装だけでなく、自分の筋道を全うする、男の美学」と定義しているようです。つまりはダンディ主義がダンディズムとなるわけだが、そう考えると少なくともイエロージャケットのダンディ坂野とダンディズムとは相反する立ち位置にあって、そのギャップを知れただけでもこの本を読む価値があるのではなかろうか。

氏の言葉の中で印象に残るものを(思いついたことを書いているだけなので本の記載に忠実ではありません)いくつか挙げてみましょう。

「スーツ売り場に女性を連れ選ばせるのは日本だけ」
日本ではよくある光景ですが、ミラノやロンドンの男性服売り場では、男の一人客が多い。自分の服装は自分で選ぶ。男が女の好みに合わせ、おしゃれするなどとは、たわけた恥さらしだ、とまで書かれている。氏はネクタイを女性から贈られたら送り返すという。他人が選択したモノを身につけるということは、他人の自分に対するイメージを受け入れ、そのイメージ通りに振る舞う行為に等しいからだという。そんな男はダンディに決して成り得ない。はぁ、勉強になります先生。これこそまさにダンディズム。

「天然素材こそクラシック」
ワイシャツを購入するときに、イージーケアとかノーアイロンとか、選んじゃいませんか?楽ですよね。(基本私はワイシャツはクリーニングに出すのですが)ダメです。氏はクラシックとは天然素材であるべきと言います。ポリエステル混紡のワイシャツは邪道。機能はダンディを殺すと。これからは綿100%のシャツを購入します。同じく革靴の底も同じ。ゴムソールなんてもってのほか。やはり革底に限る。オールソールの時期は極めて早まるが、そんなケチくさいこと言わない、これこそダンディズム。

「腕からダイバーズウォッチは野暮」
腕にダイバーズウォッチ多いですよ、サラリーマンに。ロレックスのサブマリーナどころか、パネライのルミノールマリーナなんて、飛び出すどころじゃないくらいデカデカと主張してたりする。腕時計はチラリズムが良いらしい。そのためにワイシャツの袖のボタンを調整するのは当たり前。さりげなさが良いらしい。んー、デイトジャストのジュリーブレスでも買い足したい。ダイバーズウォッチこそオトコのダンディズムかと思わせておいて、そうではないとこに感服。これがまさにダンディズム!

ネクタイは柄物は避け、上質な素材のものを。買うなら靴、シャツ、ネクタイ、スーツの順。
ネクタイ、ほぼ柄物しかありません爆。買い物の順は靴から。何故なら人間の足はほぼ変わらないから。体型や流行が変わるとスーツやネクタイは買い直ししなければならないが、靴だけは変わらない。なるほどなぁ。靴は10万円のを10足買うと良いらしい。人生で靴のことを悩む必要がなくなるそう。電車の中でサラリーマンが履いている靴を見ると残念で仕方ない。接着剤を多用したいかにも安い靴ばかり。まずは100万円で靴10足、これこそダンディズム。

日本人男性の服飾文化のバイブル…となるか

多少の時代性はあるにしても、男性のファッションにおけるバイブルとして位置付けられる本かなと。男性って、自分なりのこだわりが少なからずあって、それが正しいものと思ってる節がある。この本を読むと実は大きな間違いだったり…。社会人になってから、ファッションについて教えられたことってないです。お父さんから息子へ、なんて絶対ないと思う。本当に日本の服飾については独自文化的なんだな。あえて言うなら結婚して、スーツを着たことない奥さんが旦那のアドバイザーになったりして、もうわけわからん世界。だから日本では、海外では有り得ない黒のスーツが流行ってたりしちゃうのですよ。スーツの色はネイビーかチャコールグレーのみ。これが世界基準。
いまこそダンディズムを持って立ち上がれ、ニッポンのオトコ達よ!

蕎麦、鮨、六本木

この本には女の話はあまりありませんが、ゲイの話は数々出てくる笑。食に対して(蕎麦と鮨)のこだわりも半端ではない。そしてかつての銀座・六本木の話も。結局、氏は60歳で亡くなるが、本の記述を見る限りアル中に近いくらいの酒好きだったことを伺わせる。だから短命だったのかな…。いやいや、そんな生き方こそダンディズム。健康で長生きしようなんて考えちゃ、それこそダンディではありません。オトコたるもの太く短くの短命であるべし!

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で、クラシックな靴と吊るしのスーツを買ってみようと思う

私も今年で社会人として18年を迎え、その大半というかすべてをスーツと靴で過ごしてきました。かつては吊るしのスーツ(いわゆる量販店で売っているサイズがある程度決まっているスーツのこと)を購入していましたが、どうにも上半身と下半身のバランスが悪く、営業となった10年前からセミオーダーのスーツを購入するようになっていました。靴も同じく同じブランドの同じ形の靴ばかり。

がしかし、このダンディズムを読み、新たな靴と吊るしのスーツも購入してみたいなと思うようになったのであります。最初からクラシック、ではなく数あるスーツの中からクラシックなものを。

ダンディになるためには、高価なブランド品を身につける必要はさらさらない。流行に背を向け、自分だけのスタイルを装う。
中略
ものとのスタンスが必要なのだ。欲しいという衝動を抑制し、モノを四方八方から観察し、同じような類と比較する。靴なら靴、シャツならシャツの同じ価格帯のモノをじっくりと見る。

氏の面白いところは、靴にしろスーツにしろフルオーダーが良いと言っているわけではなく、クラシックがなんたるかを知り、モノを良く見て十分に吟味して手に入れろと言っている点である。失敗や成功を繰り返すことによって、見る目が養われ自分なりのスタンスが出来上がるという。

いままで自分の持っているスタンスってのが、クラシックとは似て非なるものであったことを再認識。これからは氏の指摘する点を意識してみるのも面白いかも。

まずは10万円の靴の購入から…爆

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